介護保険制度の「保険者」と「被保険者」とは?

介護保険制度を利用しようとするときに、最初のうちわかりづらいのが「保険者」と「被保険者」という言葉ですが、簡単に言うと「保険者」とは介護保険制度を実際に運用する主体、つまり「市町村」のことで、「被保険者」とは介護保険制度を利用する「その市町村に住む地域住民」のことです。

被保険者の概念と資格要件

被保険者は「第1号」と「第2号」に分かれます。

・「第1号被保険者」:市町村の区域内に住所を有する65歳以上の者。

・「第2号被保険者」:市町村の区域内に住所を有する40歳以上65歳未満の者で、医療保険に加入している者。

第1号被保険者、第2号被保険者ともに、日本国籍の有無にかかわらず、日本に住所を有する(住民票がある)ことが資格要件になります。

第2号被保険者については、医療保険に加入していることが資格要件の一つです。国民健康保険については、生活保護法による保護を受けている世帯に属する者は、国民健康保険の被保険者としないとされています。

ただし、65歳に達すれば、生活保護受給者であっても第1号被保険者になります。

介護保険では、資格要件を満たすと自動的に被保険者となる「強制適用」の仕組みが取られています。

第1号被保険者は、資格を取得あるいは喪失した場合には、14日以内に市町村に届出をする必要がありますが、第2号被保険者は、加入している医療保険による把握が可能なため、届出の必要はありません。

被保険者の適用除外

次の施設に入所・入院している者は、①長期に継続して入所・入院している人が多く、介護保険サービスを受ける可能性が低い、②重度の障害者の入所が想定され、施設が介護に相当するサービスをすでに提供している、③介護保険の対象となる40歳以上の人が多く入所している実態がある、との理由から、介護保険の被保険者としないことになっています。

  • 指定障害者支援施設(障害者総合支援法)
  • 障害者支援施設(身体障害者福祉法・知的障害者福祉法)
  • 医療型障害児入所施設(児童福祉法)
  • 医療型児童発達支援を行う医療機関(児童福祉法)
  • 独立行政法人国立重度知的障害者総合施設のぞみの園が設置する施設
  • 国立ハンセン病療養所等の療養病床
  • 救護施設(生活保護法)
  • 被災労働者の受ける介護の援護を図るために必要な事業にかかる施設(労働者災害補償保険法)
  • 指定障害福祉サービス事業者である療養介護を行う病院(障害者総合支援法)

住所地特例

介護保険制度では、住所地である市町村の被保険者となることが原則です。しかし、それでは介護保険施設などが多く立地する市町村は介護保険給付費の負担が重くなり、市町村間に財政上の不均衡を招くため、それらの「住所地特例対象施設」に入所するために住所地を移した場合は、「移転前の市町村を保険者とする」という、住所地特例が設けられています。

【住所地特例対象施設】

1、介護保険施設:介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)、介護老人保健施設、介護医療院、介護療養型医療施設

2、特定施設:有料老人ホーム(有料老人ホームに該当するサービス付き高齢者住宅を含む)、養護老人ホーム、軽費老人ホーム

3、養護老人ホーム(老人福祉補法)

被保険者証

介護保険被保険者証は、交付請求の有無にかかわらずすべての第1号被保険者に交付され、全国一律の様式です。第2号被保険者については、要介護認定等を申請した人か、交付の申請をした人に交付されます。

破れたり破損したときは、直ちに市町村に再交付を申請します。再交付を受け取った後、失った被保険者証を発見した時は、発見した被保険者証を直ちに市町村に変換しなければなりません。また、市町村は期日を定め、被保険者証の検認または更新をすることができます。

被保険者証は、要介護認定等の申請時に市町村に提出します。また、介護サービスを受ける時は、事業者や施設に提示します。